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2026年06月23日

Zendesk「ナレッジベースCopilot」とは? 機能検証してわかった、できること・使い方・注意点

ZendeskのAI「ナレッジベースCopilot」を、エクレクトが機能検証! カスタマーサポート(CS)の現場責任者向けに、問合せからのFAQ作成、既存記事の改善、記事のメンテナンス優先度づけで使えそうなポイントを整理しました。

FAQやヘルプセンターの記事は、作るところまでは何とか進められても、その後の見直しが止まりがちです。

問合せ内容は日々変わります。新しい機能、料金、配送条件、キャンペーン、例外対応が増えるたびに、本当は記事も更新したい。けれど、現場では問合せ対応が優先され、「どの記事から直すべきか」「どの問合せをFAQ化すべきか」といったようにナレッジベースを整理する時間がなかなか取れません。

その結果、「よくある質問なのに対応する記事がない」あるいは、記事はあるけれど「内容が古いまま」「低評価がついているのに放置されている」「AIエージェントが回答ソースとして使いにくい」といった状態が起きやすくなります。

そこで注目したい機能が、Zendesk社がRelate 2026で発表した「ナレッジベースCopilot」です。Zendesk社の発表によれば、ナレッジベースCopilotは、実際の会話をもとにナレッジのギャップや古くなった内容、不整合を見つけ、改善の推奨事項を出す機能として説明されています。

エクレクトでもさっそく、特にFAQ作成や記事のメンテナンスに関わる使い方を中心にナレッジベースCopilotの機能を検証しました。

結論からいうと、これは「FAQを自動で公開してくれる機能」というより、「CS部門の責任者や管理者がナレッジ改善を前に進めるための”相棒”」という位置付けでかなり期待できる機能です!

以下、実際に試用して確認できた主な使い方を、CS現場での活用メリットが大きいと感じた順にご紹介します。気になる項目からぜひご覧ください。

はじめに:利用前に知っておきたいこと

ナレッジベースCopilotは、2026年6月の現時点ではEAP(Early Access Program=早期アクセスプログラム)として提供されています。

EAPとは、正式リリース前の機能をお試しで利用できるプログラムのことです。参加することで最新機能をいち早く試用することができますが、留意点として、正式リリースの際に仕様が変わる場合や、正式提供されない場合もあります。詳しくはEAPに関するお知らせをご確認ください。

Zendesk社公式ヘルプでは、ナレッジベースCopilot のEAPについて、Suite Professional以上のプランを利用しているお客さまであれば、管理センターの AI > ナレッジベース > ナレッジベースCopilot から有効化できると案内されています。

図1:「ナレッジベースCopilotをオンにする」の設定箇所を確認した画面

「気になるので試してみたい」という場合は、まず自社環境で表示されるか、EAPとして利用できるかを確認するところから始める必要があります。なお、弊社エクレクトでも、ご契約中のお客さま環境ごとにナレッジベースCopilot が試せる状態かどうかの確認や、検証環境での使い方の整理をご支援可能です。

1. 問合せからFAQの下書きを作る

一番わかりやすく便利だったのは「過去に寄せられた問合せ内容をもとにヘルプセンター記事の下書きを作ることができる」点です。

たとえば、現場で何度も同じ質問に答えているのに、まだFAQ記事化できていないトピックはないでしょうか。担当者の頭の中には回答がある。チケットにも回答履歴が残っている。でも、記事にする時間がない。ナレッジ運用でよくある詰まりどころです。

ナレッジベースCopilotを使えば、管理画面から「記事を生成」を開き、対象の問合せや作りたい記事の内容を入力するだけで、FAQ記事の下書きを自動的に生成できます。

実際に検証したところ、問合せチケットをもとに、顧客向けの記事タイトル・概要・手順・注意点を含む下書きがものの数分で生成されました。ゼロから見出しを考え、本文を組み立てるよりも、かなり早く初稿を作れます。

図2:右側の会話パネルで、問合せ内容から記事下書きが生成されている画面

もちろん、AIが作った文章をそのまま公開するのはおすすめしません。返金条件、営業時間、契約条件、本人確認、個人情報の扱いなどは、人が必ず確認する必要があります。

ただ、多くの場合CS責任者にとって大変なのは「白紙から記事を作ること」ではないでしょうか? そこをAIに任せ、「この内容で顧客に出してよいか」「例外条件が抜けていないか」の確認のみに集中できる。ここはかなり実用的だと感じました。

2. 次に作るべき記事候補をダッシュボードで見つける

ナレッジ運用で意外と悩ましいのが、「次にどの記事を作るべきか」「どの記事から見直すべきか」を決めることです。

ナレッジベースCopilotのダッシュボードでは、最近のチケット内容や既存のヘルプセンター記事をもとに、作成・更新を検討したい記事の候補が「推奨事項」として表示されます。たとえば、似たような問合せが複数発生しているのに対応する記事がない場合、記事作成の候補として提示されます。

推奨事項を開くと、なぜその記事が必要と考えられるのかの理由と、想定される記事のプレビューまで確認できます。さらに、画面上の「記事を作成」から、そのまま記事の下書きの作成に進めます。

図3:ダッシュボードでインサイトと推奨事項を確認し、推奨事項から記事作成に進める画面

今回行った検証では、推奨事項のタイトルや詳細が英語で表示されるケースがありました。一方で、英語で表示された推奨事項から「記事を作成」を選択すると、日本語の記事下書きが生成されました。画面表示の言語に多少ばらつきがあっても、日本語のヘルプセンター記事作成に活用できる可能性があります。

また、Zendesk社の公式ヘルプでは、ダッシュボード上で「カバー率」「新しさ」「AIの可読性」といったインサイトも確認できると説明されています。現時点ではEAPのため、日本語環境での表示やスコアの反映は、実際のヘルプセンター記事・チケットデータで確認しながら使うのがよさそうです。ただ、将来的には「足りない記事を見つける」「古くなった記事を見直す」「AIにも読みやすい記事に整える」といったナレッジ運用の判断材料として、かなり期待できる機能です。

3. 古い記事・低評価の記事を見つける

ヘルプセンターを運用していると、記事はどんどん増えます。けれど、記事のメンテナンスの優先度を決めるのは簡単ではありません。

本当は、低評価がついている記事、問合せ削減につながっていない記事、AIが回答に使いにくい記事から直したい。とはいえ、日々の運用の中でそれを洗い出すには手間がかかります。

ナレッジベースCopilotには、ナレッジのギャップや改善候補を見つける機能も搭載されています。エクレクトの検証でも、既存記事に対して改善案を作成したり、見直し候補を探したりする使い方ができることを実際に確認できました。

特に便利だと感じたのは、ここで発見した見直し候補をもとに「この記事にこの注意書きを足したい」「AIが回答に使いやすいように構成を整えたい」といった依頼までAIとの会話形式で進められる点です。対象記事を探し、変更案を作り、保存前に確認する流れまで進められました(詳細は「4. 既存記事の改善案を作る」をご覧ください)。

図4:見直し候補と改善方針を確認した画面

もし低評価がつきがちな記事を見つけて、改善案まで出せるようになれば、CS責任者にとってはかなり助かります。「なんとなく古そうな記事を直す」のではなく、「顧客が困っている可能性が高い記事から直す」という改善サイクルに近づけるからです。

一方で、今回の検証の範囲では、低評価記事の抽出結果が別の確認結果と一致しないケースもありました。ここは、まだAIの回答だけを鵜呑みにするのではなく、管理画面のデータやレポートと照らし合わせながら使うのがよさそうです。

大事なのは、完璧な自動判定を期待することではなく、「どの記事から手をつけるか」を考える材料が増えることです。ナレッジ改善の優先度づけに使えるだけでも、現場の負担はかなり下げられると思います。

4. 既存記事の改善案を作る

FAQ記事のメンテナンスで面倒なのは、単に文章を直すことではありません。

「この条件のときは対象」「この場合は対象外」「問合せ前に準備してほしい情報」「注意点」を、顧客にもAIにもわかりやすく整理することが大変です。

ナレッジベースCopilotを使うと、既存記事を指定し、「この注意文を追加したい」「もっとわかりやすく整理したい」といった改善をAIに依頼することができます。検証では、対象記事の本文末尾に注意書きを追加する案の作成を指示し、実際に改善案を確認できました。

図5:既存記事の更新案を保存前に確認している画面

これは、AIエージェントやエージェント向けAIを使っている企業ほど価値が出やすいと思います。AIにナレッジを読ませる場合、記事の中に条件や例外が曖昧に書かれていると、回答品質に影響するからです。

人が読むための記事から、AIも使いやすい記事へ。ナレッジベースCopilotは、その記事メンテナンスを進めるきっかけになります。

5. 英語の問合せから日本語記事案を作る

多言語対応をしている企業では、問合せの言語とヘルプセンター記事の言語が一致しないことがあります。

検証では、英語の問合せチケットをもとにした記事生成を試しました。言語を指定しない場合は英語の記事下書きが生成されましたが、「日本語で作成」と明示すると、日本語の記事下書きを作成できました。

図6:英語の問合せをもとに、日本語の記事候補を確認した画面

これは、海外ユーザーからの問合せを日本語の社内ナレッジにしたい場合や、日本語で整理した内容を多言語展開したい場合に使えそうです。

ただし、保存先のブランド、カテゴリ、セクション、記事の言語は必ず確認した方がよいです。特に複数ブランドや多言語ヘルプセンターでは、AIが作った記事案を、どのブランドの記事として扱うかについては、人の目で確認する必要があります。

ここも「AIに任せきる」ではなく、「AIに下書きを作らせ、人が保存先と内容を確認する」使い方が合っています。

複数ブランド運用では、デフォルトブランド以外の配置に注意する

Zendeskで複数ブランドのヘルプセンターを運用している企業では、生成した記事案をどのブランドに置くかが重要です。

今回の検証でも、複数のブランドを用意してナレッジベースCopilotを試しました。記事下書きの生成や既存記事の更新案作成は試せましたが、ナレッジベースCopilot上でデフォルトブランド以外へ直接配置する動きは確認できませんでした。

図7:保存先候補を確認した画面。複数ブランドでは、デフォルトブランド以外への配置は手動対応を前提に確認する

そのため、複数ブランド運用では「AIが作った記事案をそのまま保存する」のではなく、生成内容を確認したうえで、必要に応じて対象ブランドのカテゴリ・セクションへ手動で配置する運用を前提にするのが現実的と考えられます。

ブランドごとにFAQ管理者を置く、AI生成記事は必ず保存先を確認してから承認する、公開前レビューの担当者を決める。こうしたルールを先に決めておくと、ナレッジベースCopilotを記事作成やメンテナンスの入口として使いやすくなります。

Knowledge builderとの違い

Zendeskには、Knowledge builderという機能もあります。これは、過去のチケットをもとにヘルプセンター構成や記事案を作る機能です。

ざっくり整理すると、Knowledge builderは「ヘルプセンターを作る・作り直す」場面に向いています。一方、ナレッジベースCopilotは「運用中のナレッジを見直し続ける」場面に向いていると考えると、わかりやすいです。

機能向いている場面
Knowledge builderヘルプセンターの初期構築、古いヘルプセンターの作り直し
ナレッジベースCopilot問合せをもとにした記事追加、既存記事のメンテナンス、改善候補の発見
エージェントCopilotエージェントの回答支援、対応手順の標準化

ヘルプセンターは、最初に作るだけでは十分ではありません。問合せが変われば、FAQも変える必要があります。ナレッジベースCopilotは、その継続改善をAIで進めやすくする機能として期待できます。

「ナレッジベースCopilot」の利用料金はどうなる?

料金についても気になるところですが、2026年6月時点で、Zendesk社のEAP案内では、正式提供後の料金体系や追加料金の有無は明らかにされていません。

現在はSuite Professional以上のプランを利用しているお客さまであれば無料でEAPに参加できますが、正式リリース時には利用条件や料金体系が変更される可能性もあります。

だからこそ、まずはEAPとして利用できる今のうちに、自社の問合せやヘルプセンター記事を使って活用価値を確かめておくと、正式提供後の導入判断もしやすくなります。

まとめ:ぜひ、自社の問合せを使ったナレッジ改善の可能性を確かめてください

今回の検証を通じて、ナレッジベースCopilotは、ナレッジ運用に課題を抱えるCS部門の責任者や管理者にとって、かなり期待できる機能だと感じました。

特に、次のような課題がある企業では試す価値があります。

  • よくある問合せをFAQ化しきれていない
  • ヘルプセンター記事が増えたが、どれから直すべきかわからない
  • AIエージェントに参照させることを前提に、記事を整えたい
  • 複数ブランドや多言語の記事管理が複雑になっている
  • 現場の回答履歴をナレッジ改善につなげたい

実際に機能を触ってみた印象としては、ナレッジベースCopilotは「AIが勝手にFAQを完成させる機能」ではありません。現場に既にある問合せやFAQ記事をもとに、管理者がその改善を進めやすくする機能です。

ぜひ実際に、自社のZendeskに蓄積されている問合せチケットを使って、どんな記事候補が出るか、どの記事を直すと効果がありそうかを一緒に見てみるのがよいと思います。

たとえば、チケット画面で関連ナレッジ候補を確認すると、自社の問合せに対して既存記事がどのくらい使えそうかをつかみやすくなります。ここから、FAQ化できていないテーマや記事メンテナンスの優先度を考える入口にできます。

図8:自社の問合せチケットで、関連ナレッジ候補が表示されているかを確認する画面

エクレクトでは、ZendeskのAI機能やナレッジ運用について、現状整理、活用方針の検討、機能検証、運用設計までご支援しています。ナレッジベースCopilotを試してみたい方、自社のヘルプセンターをAI活用に向けて整えたい方は、こちらからお気軽にご相談ください。

参考情報


エクレクトは、800社を超える豊富な支援実績による知見とノウハウを元に、CX向上およびEX向上につながるサービスをトータルで提供しています。また、コミュニケーションプラットフォーム『Zendesk』のAPAC NO.1の導入実績を誇り、AWSや各種AIエンジンなどさまざまな外部システムとの連携開発をはじめ、システム設計から実装・運用まで、トータルでご支援します。

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