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2025年10月21日

Zendeskに革命的機能「アプリビルダー」登場! AIとの対話で、誰でもカスタムアプリが作れる新時代へ

「Zendeskを自社の業務に合わせて、もっと便利にしたいけれど、開発者がいない…」

多くの企業が抱えるこの共通の課題に応えるため、Zendeskは「アプリビルダー(App Builder)」という画期的な新機能をリリースしました。

この記事では、アプリビルダーのコンセプト、重要性、簡単な使い方とアプリ作成のコツについて解説します。

Zendeskの「アプリビルダー」とは?

Zendeskの「アプリビルダー」は、AIとの自然な対話だけでカスタムアプリを作成できるノーコード開発ツールです。

Zendeskの標準機能だけでは対応しきれない、自社特有の業務フローやプロセスに柔軟に対応するカスタムアプリケーションを、プログラミングの知識がなくても作成できるのが大きな特長です。これまでであれば開発リソースの確保や外部委託が必要だったような要件も、アプリビルダーを使えば、まるで同僚に「〇〇ができるアプリを作って」と頼むように、自然な言葉で指示するだけでAIが設計から構築までを自動的に行ってくれます。

サポート現場における「あと少し、ここがこうなれば」というニーズを、エンジニアに頼らず自分たちの手で形にできる——アプリビルダーは、そんな新しい業務改善のあり方を実現します。

プログラミング不要。AIとの会話でカスタムアプリを作成できる「アプリビルダー」。

アプリビルダーの使い方

アプリビルダーの使い方は、驚くほどシンプルです。

アプリ作成は、一度の指示で完成させるのではなく、AIとの会話を重ねて改良していくプロセスです。簡単な機能から始め、AIからの提案を確認し、追加の指示を出すことで、理想のアプリを育てていきます。

アプリを公開するまでの基本的な流れは、以下の6ステップです。

1.「会話」を開始する
Zendeskの管理センターから「アプリビルダー」を開き、「会話を開始」をクリックします。

2. アプリの場所を選ぶ
チケットのサイドバーなど、作成するアプリを表示させたい場所を選択します。

3. 作りたいアプリの内容を言葉で伝える
「〇〇ができるアプリを作って」といったように、AIに対して作りたいものを簡単な言葉で指示(プロンプトを入力)します。

4. AIのプランを承認する
AIがあなたの指示を基に提案するアプリのプランを確認し、問題がなければ承認します。

5. テストと改良を重ねる
AIが生成したアプリをプレビューやテスト機能で試し、「このボタンを追加して」「表示する情報を変えて」といった追加の指示を出して改良していきます。

6. アプリを公開する
アプリが完成したら、アプリにアクセスできるロールまたはグループを必要に応じて指定し、チームのエージェントが使えるように設定します。

公開したアプリはSupportアプリケーション一覧に自動で追加される。

アプリビルダーを利用できるプラン

アプリビルダーは、以下のZendeskプランで利用できます。

* Suite Professional, Suite Enterprise, Suite Enterprise Plus
* Support Professional, Support Enterprise

なお、プランによって、同時に進行できる「会話」(=開発中のアプリプロジェクト)の数には上限があります。たとえば Suite Professional では最大5件までの会話を並行して進めることができます。

一度完成したアプリは公開後に「会話」を削除することで、「会話」の残枠を再び空けることが可能です。つまり、同時開発中のアプリ数に上限はありますが、公開できるアプリの数には制限がありません。うまく運用することで、会話を整理しながら、さまざまな業務改善アプリを量産・活用することができます。

「会話」によって同時に作成が進められるアプリの数はプランごとに制限あり。

アプリ作成のコツとヒント

アプリビルダーで良いアプリを作るコツは、AIに明確で具体的な指示を与えることです。

その目安として役立つのが「MAPSフレームワーク」です。MAPSは「Mission(目的)、Action(機能・動作)、Parts(見た目/UI)、Scope(対象・範囲)」の頭文字を取ったもので、AIがあなたの意図を正確に理解し、期待どおりのアプリを作るための指針になります。

以下のMAPS要素を意識して指示内容を整理すると、AIが意図を誤解しにくくなり、より期待に沿ったアプリを生成することができます。

MAPS要素意味と考慮事項
Mission
目的
アプリが解決すべき課題や背景は何かを
明確に指定します。
エージェントの効率を向上させるため
Action
機能/動作
アプリが具体的に何をすべきか、使用するデータソース(例:Google、Jira、社内データベース)や核となる機能、ワークフローを明確に指定します。顧客の購入履歴を取得して表示する
Parts
見た目/UI
出力の見た目や構造的な要素、視覚的な期待を説明します。リスト/ボタン/グラフ/テーブルで表示する、特定の色でハイライトするなど
Scope
対象/範囲
誰が、どの状況で使うのか、対象ユーザーやデータの範囲を限定しますサポートチケットを閲覧するエージェント向けで、現在のリクエスタの情報のみ

たとえば、「エージェントが過去の満足度コメントを確認できるアプリ」なら、「目的=フィードバック循環の強化、機能=最新5件のコメント表示、見た目=テーブル+グラフ、範囲=現在のリクエスタのみ」と整理して伝えます。

逆に「いい感じのUIにして」「関連情報も」といった曖昧な指示では、AIは意図をつかめません。

MAPSを意識して「何を・なぜ・どう見せ・誰が使うか」を言語化することで、アプリビルダーとの“会話”がスムーズになり、精度の高いアプリを短時間で完成させることができます。

以下に、実際のプロンプト例を見てみましょう。良い入力と悪い入力を比較することで、AIが理解しやすい指示の書き方が具体的にイメージできるはずです。

【良い入力例】
“エージェントが過去6か月の顧客満足度コメントを簡単に確認できるアプリを作ってください。目的は、対応品質の振り返りと改善に活かすことです。最新の5件をテーブルで表示し、各コメントの左に「Good」「Bad」アイコンを表示してください。全体の傾向を折れ線グラフで上部に表示し、コメントタブとグラフタブを切り替えられるようにしてください。Good評価のコメント行は背景を薄い緑、Badは薄い赤で表示します。このアプリはサポートチケットを閲覧中のエージェントのみが使えるようにしてください。”

ポイント:
・目的(Mission)、動作(Action)、見た目(Parts)、対象範囲(Scope)がすべて具体的に示されている。
・文章としても自然で、非エンジニアでも理解しやすいレベルの明確さを保っている。

【悪い入力例】
“いい感じに顧客満足度を見られるアプリを作って”

問題点:
・「いい感じ」という曖昧な表現で、何を・どのように表示したいのかが不明確。
・目的や対象ユーザー、表示形式などの前提が不足しており、AIが的確な設計を行えない。
・結果として、期待と異なるレイアウトや機能のアプリが生成される可能性が高い。

このように、MAPSの4要素(Mission/Action/Parts/Scope)を意識して具体的に指示することが、アプリビルダーで精度の高いアプリを素早く構築するための重要なポイントです。

どんなアプリが作れる? 作成例の紹介

言葉だけでアプリが作れると言っても、具体的にどんなものができるのかイメージが湧きにくいかもしれません。そこで、いくつかの作成例をご紹介します。

アプリ名内容解決された課題
担当者変更履歴トラッカーアプリチケットの担当者変更履歴を表形式で表示し、変更回数を集計担当者変更履歴の追跡を自動化し、引き継ぎ確認を容易に
最新満足度コメント表示アプリチケットに関する最新5件のCSAT(顧客満足度)コメントを表示し、評価別に色分け失われたCSATコメント機能を代替し、顧客満足度の傾向を可視化
ユーザーデータ表示アプリチケット要求者の過去チケット履歴や添付ファイルを一覧表示顧客対応履歴をワンクリックで参照し、情報検索の手間を削減
自己分析インサイトアプリエージェントが過去6か月で解決した上位トピックを可視化業務傾向を把握し、工数配分や教育に活用
ユーザー・組織情報表示アプリユーザーと組織の詳細(カスタムフィールド含む)を折りたたみ構造で表示情報参照を簡素化し、UIの見やすさを改善
チケットパルス(顧客動向確認)アプリ要求者の最近のアクティビティや直近5件のチケットを表示顧客の動向を即座に把握し、サポートの文脈理解を強化
Salesforceアカウント詳細アプリSalesforceのアカウント詳細をZendesk上に表示外部CRMとのデータ参照を一元化し、確認工数を削減

▼アプリの作例出典(Zendesk公式ヘルプ)
Prompting guidelines and examples for App Builder > Customer-built app examples

アプリビルダーで再現した「担当者変更履歴トラッカーアプリ」。

まとめ:アプリビルダーで広がるZendeskの新たな可能性

アプリビルダーは、Zendeskを自社の業務に合わせて柔軟に拡張できる革新的なツールです。

これにより、サポートチームは「改善を待つ」立場から「解決策を生み出す」立場へと進化し、業務改善をよりスピーディかつ柔軟に実現できるようになります。

一方で、外部システムとの連携や、より複雑な要件を満たす高度なアプリを実現するには、専門的な設計が欠かせないのも事実です。

アプリビルダーではうまく解決できない課題をお持ちの方は、ぜひエクレクトにご相談ください!

▼この記事は以下のZendesk公式ドキュメントを参考に作成しました
Using App Builder
Prompting-guidelines-and-examples-for-App-Builder


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