CASE

導入事例
2026年08月24日

単なる顧客対応からお客様の声を価値に変える組織へ、“Play fashion”を支えるVOC経営の実現に挑戦

株式会社アンドエスティHD

株式会社アンドエスティHDは、かつて問い合わせ対応に紙ベースでのアナログな管理を続けていたが、会員基盤の急拡大とともに問い合わせ件数も急増。オペレーターにとってもお客様にとってもストレスフルな状況に限界を感じ、一元管理による効率化や可視化を軸にZendeskを導入した。導入後は有人対応比率77%の削減に成功。チケット対応時間は40%削減し、自己解決率は90%以上を維持するなど、大きな成果を手にした。今後はZendeskに蓄積されていくお客様の声を価値に変える取り組みを進め、LTV向上を見据えた顧客体験の進化に挑んでいく。

株式会社アンドエスティHD
カスタマーサクセス部長 白川 洋希氏(写真右)
 
株式会社アンドエスティHD
カスタマーサクセス部 DX推進マネジャー 山崎 詠一氏(写真左)

Zendeskソリューション導入の背景と課題

アパレル・雑貨・飲食などのブランドを展開する株式会社アダストリア、株式会社エレメントルール、株式会社ゼットン、モール&メディア事業などを展開する株式会社アンドエスティなどをグループに持つ株式会社アンドエスティHD。紳士服小売店として創業して以来、厳しい外部環境の中で生き残るため、過去4回ビジネスモデルの変革を実行してきた同社は、2025年9月のホールディングス体制への移行を機に、アパレル小売業からプラットフォーマー業への転身を図るべく「5回目のチェンジ」を進めている。

同社が目指すのは、「Play fashion!プラットフォーマー」への進化だ。「毎日をワクワクさせること」「誰かと新しいものを創ること」「それぞれの人生を楽しむこと」をファッションと定義し、一人ひとりの毎日に「もっと楽しい」選択肢を提供するために、洋服に限らず、食や住環境、アウトドア、トラベル、美容、健康など、多様なジャンルにプロダクトラインを拡げ、マルチブランド・マルチカテゴリー戦略を加速させている。

自社ECサイト「and ST(アンドエスティ)」とリアル店舗の共通会員制度を導入し、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐショッピング体験の提供を特徴とする同社は、現在、国内外1,600店舗、2,000万人を超えるand ST会員基盤を有し、45を超える自社ブランドを展開する。

2021年当初 、会員数の伸びと比例して増え続ける問い合わせへの対応に、紙ベースでのアナログな管理を続けていたという同社。顧客接点はメールと電話のみ。CTI連携もしておらず、お客様に関する情報がまったくない、言うなればハダカの状態で問い合わせ対応を行っていた。複数システムの管理画面を行ったり来たりしながらの対応は当たり前。対応した案件は紙で大量に溜まっていくばかりで、共有もままならない状態だった。当時オペレーターとして問い合わせ対応に当たっていた山崎氏は、こう振り返る。

「メールで送った件で電話したと言われても、そもそもお客様が誰なのか、どのメールなのかわかりません。お問い合わせ内容が見えない状態で電話を取るオペレーターの心理的負担は大きかったですし、おそらくお客様にとっても二度手間が増え、ストレスだったと思います。また、注文数が増えれば増えるほど問い合わせ件数が増えていき、人的リソースを増やすことでしか対応できません。そうなるとコストは膨らむばかりです。同じやり方を続けていくことに現場でも限界を感じ始めていました」

10年前は年間2万件だった問い合わせが24万件(2021年実績)に増加する中で、顧客対応品質を維持するための工数や労力は膨らむ一方だった。単に問い合わせ対応を効率化するだけでなく、属人化を解消するためにも、デジタル化は喫緊の課題だったと言える。そこには、サステナブル経営の実現に向けてDXを重点投資領域に据える同社として、デジタルの顧客接点を強化し、提供価値を高める狙いもあった。

Zendeskが選ばれた理由

もちろん、これまで何も手を打ってこなかったわけではない。たとえば、顧客による自己解決を促そうとチャットボットの活用も試みたが、メンテナンスに時間がかかる製品で想像以上に運用負荷がかかり、根本的な解決には至らなかったという。いよいよデジタルツールの導入に向けて動き出した同社は、部内アンケートを通じて合計122個もの課題を洗い出した。担当者が抱えている課題は一様ではない。部内のヒアリングに力を入れたのは、DX化の推進にあたり、やりたいこと、つまりソフト面が固まっていないと、どんなに優れたシステムを入れても変わらないと考えたからだ。

同社は、約2ヵ月をかけてヒアリングした内容をもとに課題の棚卸作業を行い、”あるべき姿”として次の5つの実現を目指した。①電話応対の負荷軽減、②コミュニケーションの効率化(情報共有)、➂問い合わせ対応の効率化、④マネジメント力の強化、⑤周辺システムとの連携強化である。さらに、実現に寄与する解決の方向性を、①CTIシステムとカスタマーサポートツールの統合、②カスタマーサポート機能の拡充、③周辺システムとの連携の3つに絞り込んだ。

これらの要件をもとに複数のツールを比較検討した結果、自社のやりたいことを標準機能でほぼ網羅できるとしてZendeskの導入を決断。サポート部門が抱えていた不満や困りごとを一気に解決できる点を高く評価しただけでなく、顧客による自己解決を促進できること、さらに顧客接点を拡充できることへの期待も大きかったという。

「Zendeskの導入をめぐってパートナーのエクレクトとやりとりを重ねる中で、問い合わせ対応のあり方について教えていただくことも多く、カスタマーサポートからカスタマーサクセスへと我々の意識が変化していきました。問い合わせが来るということは、お客様が困っていらっしゃることの現れです。それなら、お客様が何に困っているのかを可視化し、問い合わせにつながる前に、その困りごとを未然に解決していこう、先回りしてアクションしようという考え方にシフトしていきました」と白川氏は語る。

Zendesk導入の効果

同社は、部内アンケートでもっとも要望の多かった電話対応の改善に向けて、Zendesk とクラウド型コンタクトセンターサービスのAmazon Connectを連携。IVR(自動音声応答システム)で専任チームへの振り分けを行うだけでなく、問い合わせフォームへの誘導を行い、チャネルの選択肢を増やした。また、Zendeskと社内システム上にある商品情報などのデータをAPI連携することで、一次対応における情報を補完。さらに、Answer Botを活用して顧客の自己解決をサポートし、それでも問題解決に至らなかった場合は、チャットによる有人対応に切り替えられるようにした。これにより、顧客が問題の種類に応じた適切なチャネルを選び、速やかに対話をスタートできるようになり、顧客はもちろん、オペレーターのストレスは大きく軽減している。

効果は数値にもはっきりと現れている。会社の成長とともに増え続けていた有人対応比率は、Zendesk導入を機に大幅に低減。導入当初との比較で77%の効率化を実現した。また、Zendesk Copilotのオートアシスト機能を活用し、問い合わせへの返信文の作成を自動化。チケットへの対応時間を約40%短縮し、一貫性のある方法でチケットを解決できるようにした。さらに、ヘルプサイトの使い勝手、検索性の向上、ペインポイントに合わせた記事作成によって自己解決率が260%アップ。現在もなお、自己解決率90%以上を達成し続けている。

Zendesk Copilotのオートアシスト機能で問い合わせへの返信文作成を自動化
検索性向上により自己解決率大幅向上を実現

「対応時間が短縮するということは、それだけお客様に対して素早くレスポンスできているということであり、より良い顧客体験につながっているはずです。また、効率化により生まれた時間をカスタマーサクセスの取り組みに使えるようにもなりました。カスタマーサクセスに力を注ぐことは、会社の未来のためでもあり、何よりお客様のためであります」(山崎氏)

今後の展望

「我々は、お客様の声をビジネスの中心に据えるべきだと考えています。Zendeskには、そのお客様の声が蓄積されており、まさに宝そのものです。今まではその一つひとつの声に対応していくだけで精一杯でしたが、今後はVOC活動を通してお客様の声を具体的なアクションにつなげていき、もっと言えば、経営判断に使えるようにしていきたいと考えています。集まってきた情報を分析し、価値に変えていく取り組みです」と白川氏。

そのために日々蓄積されていく情報をどう活用していくかが今後の焦点となっており、Zendeskが提供するインサイトが、顧客体験価値のみならず従業員体験価値の向上を可能にし、最終的にはLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の実現に大きく貢献すると期待されている。また、情報を価値に変える取り組みには人的リソースが必要だとして、白川氏は、AIとの棲み分けに言及。「これからは、いわゆるサポート業務の多くをAIが代替する時代になっていくと思います。ただ、AIはあくまでも手段だと考えています。有人で対応すべき領域を精査し、AIを効果的に取り入れながら、LTVの実現に向けたクリエイティブな活動に人的リソースを投入していきたいですね」と語る。

「Zendeskの活用にはまだまだ伸びしろがある」(山崎氏)として、同社は引き続きエクレクトに相談しながら、Zendeskの活用を進化させていく計画だ。

「『人々の快適で幸せな生活・働き方を実現する』というエクレクトの理念にとても共感しています。人々=顧客に置き換えると、我々は“顧客にとっての快適で幸せな成功体験とは何なのか”を突き詰めていく必要があると考えています。その答えは我々だけでは導き出せません。これからもエクレクトと手を取り合い、議論を重ねながら最適解を見つけていき、その実現に取り組んでいきます。Zendeskをベースにエクレクトが引き出してくれる可能性には、これからも大いに期待するところです」(山崎氏)

最新テクノロジーを活用したカスタマーサクセスの未来は、どこに向かうのか。エクレクトというビジネスパートナーを得て、手探りながらも、アンドエスティHDが提供する顧客体験価値は、同社の成長を大きくドライブしようとしている。


「Zendeskの導入を機に、目の前の問い合わせに対応するだけで手一杯だった状態から、効率化により生まれた余剰時間をカスタマーサクセスの取り組みに使えるようになりました。改善のサイクルがうまく回り始めると同時に、Zendesk上に蓄積されていくお客様の声を価値に変え、事業の成長に寄与できる組織へと進化している実感があります。」

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