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顧客が自己解決できる仕組みを理想形に、自社にフィットする使い方を模索
Zendesk導入事例インタビュー
株式会社クラシコム
ECサイトをメディアに進化させ、さまざまなチャレンジを続けるクラシコムは、メールシステムで対応してきた問い合わせをZendeskに移行。Zendesk製品に精通したエクレクトの力を借りつつ本番稼働に向けて準備を進める中で、その豊富な機能を活用しながら、心地よい顧客体験につながる効率化を次々と実現している。顧客が自己解決できる仕組みを理想として、Zendeskのさらなる可能性を模索中だ。
Zendeskソリューション導入の背景と課題
株式会社クラシコムは、「フィットする暮らし、つくろう」をミッションとして、オーダーメイドなライフスタイルを求めるユーザーを、さまざまなWebサービスの提供を通じて支援することを目的に設立された。同社が運営するECメディア「北欧、暮らしの道具店」は、2007年に北欧のヴィンテージ雑貨を販売するネットショップとして誕生。その後順調にサービスを拡大し、現在は北欧に限らず国内外の雑貨・アパレルなどを幅広く取り扱っている。単に魅力的な商品を並べたショッピングサイトではなく、「カートボタンのついた雑誌」のようなサービスを目指し、月間約100本の読み物コンテンツを提供しているのが特徴だ。
近年は映像コンテンツにも注力。オリジナル短編ドラマ「青葉家のテーブル」はYouTubeで600万回以上再生され、2021年6月にはその映画版も公開されるなどコンテンツの幅を広げている。また一方で、2015年にスタートしたB to Bの広告事業「BRAND NOTE(ブランドノート)」では、メディアとしての影響力を活かし、ナショナルクライアントを中心に100社以上の企業とのタイアップ施策を展開。マーケティング活動を立体的に支援している。
「北欧、暮らしの道具店」のスマホアプリは100万ダウンロードを突破。サービス規模の拡大と共に同社に寄せられる問い合わせも増えつつあり、一日に100件を超えることも珍しくはない。その内容を大別すると、注文に関するもの、返品・交換の依頼、商品や掲載内容についての質問の3つになる。以前は、これらすべてを一般的なメールシステムで管理していたという。
「未読フォルダのメールを開封したら内容に応じて担当者に振り分け、問い合わせの種類、担当者、進捗状況ごとにラベルを付けて管理していました。問い合わせの対応状況はラベルを見れば把握できますが、全体を可視化する仕組みがなく、1つのメールに複数のラベルを付与していくうちにラベルの管理が複雑化し、効率面で課題を感じるようになりました。」と、株式会社クラシコム ビジネスプラットフォーム部 コミュニケーショングループ 中川 杏子氏は語る。
Zendeskが選ばれた理由
メールシステムからの切り替えを決断したのは、事業規模が拡大していく中で、現行システムでのラベルを使った運用が、いずれ限界を迎えることが想定されたからだ。新たなツールの選定において重視したのは、システムそのものの安定性と、事業の安定性である。
株式会社クラシコム ビジネスプラットフォーム部 執行役員 部長の高尾 清貴氏は、「ツールを乗り換えるのは大仕事ですから、頻繁にシステムダウンしたり、ツールの提供者側の理由で急にサービスを打ち切られたりしても困ります。この2点で信頼できる大手のサービスを探しました。最終候補に残った2つのツールを比較したとき、カスタマーサービスの領域で世界をリードしているZendeskが圧倒的に群を抜いていました。もちろん、サポート業務に特化したソフトウェアであることへの期待もありました」と説明する。
さらに現場目線では、「Zendeskのトライアル中に気づいたこととして、社内用メモの内容を誤ってそのまま顧客に送信してしまうリスクを懸念していたのですが、誤送信を防止するアプリケーションと連携させることで容易に解決できると知り、Zendeskの導入が一気に現実味を帯びました」と補足する。
その誤送信防止アプリを開発したのが、Zendeskのパートナー企業であるエクレクトである。プロジェクトの伴走者としてエクレクトを迎えたのも、かゆいところに手が届くアプリケーションのラインナップを評価してのことであり、さらに「Zendeskの豊富な機能を使ってさまざまなチャレンジしていくためには、製品に精通した”案内人”の存在が不可欠です。当社が片手間にやっていても、なかなか前に進めませんでした」と高尾氏。
Zendesk導入の効果
Zendeskへの移行にあたっては、エクレクトの協力を得て、メールシステム上に溜まっていた約400万件のデータを11万件ほどに絞り込んだ。「お客様とのやりとりの履歴を捨てることになる不安が大きかったのですが、エクレクトさんの知恵を借りることで過去のメールをZendeskに移行できるとわかり、現場の心理的負担がぐっと減りました。また、400万件ものメールから必要なデータを抽出するためのロジックを見つけてもらい、スムーズに移行できました」と高尾氏。
現在は、既存のメールシステムと併用しながら本格稼働に備えている段階だが、ビューやトリガの設定により手動だった振り分け作業を自動化した。
さらに、社内で開発したアプリケーションを組み込むことで自社の業務にフィットさせ、より便利で使いやすいシステムへと改良が進んでいる。たとえば、チケットの起票時には、Zendeskの管理画面で社内のデータベース上にある注文情報や過去の購入履歴を閲覧できるようにした。これにより、問い合わせが入るたびに自社システム上で検索をかけてステータスを確認する手間がなくなり、大幅な効率化が図られている。
エンジニアチームとしてZendeskの運用をサポートする株式会社クラシコム システムプラットフォーム部 テクノロジーグループの木村 浩一朗氏は、こう評価する。
「Zendeskはアプリケーションを作り込む際に外部システムからのデータの受け渡しが容易なので、サポートチームからのリクエストにも柔軟に対応でき、エンジニアチームとサポートチーム間で“Zendeskでできること”をイメージしやすくなりました。開発用ドキュメントもわかりやすいですね。今後、Zendeskを使ってデータ分析を強化していけば、これまで課題として認識してこなかったような改善点も見えてきそうです。」
体感として30%ほど負荷が軽減したという中川氏も、「Zendeskは可能性を広げていくことができるツールであると実感しています。さまざまなアプリケーションを自由に組み込めることがわかったので、効率化という視点でさらにできることが増えていきそうです」と期待を募らせる。走り出してから付加したい機能を柔軟に実装できるのも、Zendeskの強みと言えそうだ。
プロジェクトを振り返り、頼れる案内人としてプロジェクトを支援したエクレクトについて、高尾氏は、「当社が困っているけど言語化できない部分を汲み取り、フレキシブルに対応してくれました。この先、エクレクトさんが提供しているアプリで解決できることも多そうです」と評価する。
今後の展望
「事業が伸びても、問い合わせ件数は頭打ちになるのがカスタマーサポートの理想形です。そのためにも、お客様が問い合わせをしなくても問題が解決する仕組みを作りたいと考えています。既存のメールシステムでは、そもそも我々がどのくらいの生産性で働いているのかがまったくわかりませんでした。Zendeskで負荷を可視化できる環境が作れたことは、増えた問い合わせを減らすための改善が進むことを意味しています。つまり、理想のカスタマーサポートへの第一歩です。」(高尾氏)
顧客の自己解決を助けるツールとしては、現在社内向けFAQ(マニュアル)に使用しているZendeskのヘルプセンター 構築機能 の活用も見込まれる。
一方で、顧客は必ずしも効率的な体験だけを求めているわけではないとして、高尾氏はこう語る。
「サポートチームにはコンテンツに対する嬉しい感想も届きます。お客様からいただく貴重なお声には、担当者の想いを乗せて返信をします。効率性を極めたZendeskを使うことで、こうしたポジティブなやり取りにもきちんと時間を使うことができるようになるので、ビジネスにも良い形で反映していけそうです。」
長期的には、問い合わせを減らす狙いとのマッチングを考慮しながら、現行の問い合わせチャネルにチャットを追加することも視野に入れている。その他にも、Slackとの連携、アプリの追加開発など、ビジネスの変化に対応したサポートを実現していく上でZendeskだからこそできることがますます増えていくことが期待される。フィットする暮らしを提案する企業としてフィットする心地よさをとことん追求できるZendeskは、クラシコムのビジネスと共に活躍の場を広げていきそうだ。
「Zendeskが創出する顧客体験は、一消費者として見ても本当に心地よいなと感じます。お客様とのやりとりを大切にするクラシコムにとって、問い合わせ対応の効率化と良質なサービスの両立を実現できるZendeskは、さまざまなチャレンジを可能にしてくれます。」
株式会社クラシコム
ビジネスプラットフォーム部 執行役員 部長
高尾 清貴氏
写真:クラシコム提供(木村文平)
導入事例
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